接触 #2

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「魔術を……ちょっと試しに」 「新魔術の開発か? 地下から上がってきたばかりなのに、精が出ることだな」 男はわざとらしい仕種で驚いて見せる。 その言葉にレーヴェは目を丸くした。 目の前の男も、自分が地下からの生還者だと知って近づいて来たようだ。 冥夢の幻域とやらが、どれだけ重要だったのかと疑問に思う。 「貴方は?」 「俺? 俺かい。俺は神誓王国メルテシオン・王宮近衛騎士団の一人、ジョナサン・グライド。まあ……戦役調査団の一人さ」 「メルテシオンの戦役調査団?」 不思議そうな顔のレーヴェを見て、グライドは何故か得心したように頷いた。 「国名も分からないか? 記憶喪失と言う話は嘘じゃなさそうだな。武勲報酬を貰う前に、すっとぼける馬鹿はいないだろうしな」 ニヒルに笑う顔には、何故か疲れた影が付き纏っている。 戦後直ぐに、ここまで強行軍で訪れた事をレーヴェは知らない。 「皆……地下での戦闘内容が知りたいんだね」 その言葉に、グライドはわざとらしく髭をかく。 「まぁ~確かにそれもあるが、どちらかと言うとガルンの動向と持ち去った遺体の方を知りたいのさ」 「……遺体?」 レーヴェはレッドレイの言葉を思い出した。 彼も同じような事を口にしている。
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