孤影を追う者

5/12
前へ
/35ページ
次へ
「同感です」 アスラージュの言葉にクロシードは相槌を打つと、レーヴェに視線を向ける。 後はレーヴェの同意だけと言う意味だろう。 「ボクは政策や情勢は全く分からないから、皆さんの方針に従います」 レーヴェは美味しそうに珈琲をこくこくと飲む。 記憶には無いが、年の割には珈琲好きだったらしい。 「それでは、明日からカシアジイーネ連邦共生国入りする。まだ、この辺りは閑散としているが、向こうの防衛戦力も現れる筈だ」 「しかし、それならば先にガルン・ヴァーミリオンが捕捉されるのでは?」 クロシードの意見に、何故かウォータルは渋い顔をした。 その様子にレーヴェも不思議がるが、アスラージュも微妙な顔をしている。 「奴は……夜目が利く。それに穏行術も常識はずれだ。何の能力かは皆目見当も使ないがな。奴の黒鍵騎士団時代のコールネームは“ナイトファントム【闇夜の亡霊】”だ」 ウォータルの言葉は、何故か諦めに似た様相があった。 ガルンの能力は、王宮近衛騎士団の者ならば数々の現場で目撃している。 単独行動のスキルも、個人戦闘力もトップクラスだ。 その中でも、闇夜の戦闘能力は卓越している。 かつてはマドゥールク補給路分断戦において、敵の追撃部隊を全滅させた実績を持つ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

94人が本棚に入れています
本棚に追加