孤影を追う者

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「力ずく?! 彼に対して力で挑む?」 レーヴェは軽く身震いした。 脳裏に焼き付いた黒い焔を思い出す。 現実離れした一場面は、まるで夢のようにぼやけている。 それでもガルンと戦うぐらいなら、洞窟で襲ってきたモンスターと戦う方がマシに感じた。 「又聞きですが、ガルン・ヴァーミリオンは王宮近衛騎士団の中でもかなり上位の実力と聞きました。 我々だけで大丈夫なのでしょうか?」 「自分とアスラージュでは力不足と言いたいのかクロシード?」 ウォータルに睨みつけられて、クロシードは肩を窄めた。 ウォータルは鼻を鳴らして珈琲を一気に嚥下する。 苛立つウォータルを見て、アスラージュは苦笑いを浮かべた。 実際、ガルン・ヴァーミリオンの実力は飛び抜けている。 王宮近衛騎士団一人一人の実力にそこまでの差は存在しないが、別格と言う者はやはり存在する。 始祖級吸血鬼アズマリア。 英雄騎士アレス・デュランダーク。 界境鬼士ネロウス。 それに次ぐとされていたのが、魔剣士ガルン・ヴァーミリオンだ。 彼の実力は王宮近衛騎士団の中でも、頭が一つ抜け出ている。 ウォータル、アスラージュ共に特殊能力の保持者ではあるが、二人掛かりでもガルンに勝てる確証は無いのだ。
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