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「なっ?!」
残りの二名が離脱に入る。
寸前で避けたと思ったが、シミター使いはガクリと膝を折って倒れ伏した。
どうやら掠めていたらしい。
唯一ハルバート使いだけが後方に回避する。
「なっ……んだ、コ■は」
目の前で燃える上がる、人間松明を愕然と眺めた。
大気を歪ませながら、焔は多首竜のようにうごめく。
その炎が腕に絡み付いたボーラを焼き尽くす。
すると、ガルンを包み込んでいた黒い光沢は、まるで硝子が割れるように砕け散った。
「やれやれだな」
黒い豪炎が、大地を焼きながら歩き出す。
足元には二名のマント姿が転がっているが、何故か彼等は燃えていなかった。
「どう言うからく■だ?! 何故、時間凍結さ■た状態で動ける! ■んな事は物理的に■り得ない!」
うろたえるマント姿を、ガルンはくだらない三文芝居を観るように、ため息混じりに眺める。
「そういえば、大戦で似たような事をしていた奴がいたな。その時は“空間を制止”させていた筈だが……。逆に時間が停止すれば、物体も制止する……か」
「……!! 貴様、剣士ではなかったのか!」
「……剣士のつもりだが?」
返答はあまりに淡泊だ。
本人に自覚がないのだから仕方が無い。
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