94人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
彼が纏っているモノは、あくまで“殺気”なのだから。
「有り得ん……。そ■に我等に物理攻■が効くはずは無い。貴様は一体……」
「一つだけ聞く。貴様らを手引した奴は誰だ?」
「……言っ■も貴様には理解出来んよ……。それに、所詮我■は捨て駒だ」
ハルバートが下段に下がる。
あくまでやる気のようだ。
ガルンは仕方なく刀を正眼に構えた。
ゆっくりと黒い炎が収まっていく。
ハルバート使いは微妙に刃先を震わせた。
「何のつもりだ……」
「……貴様は俺を剣士だと思っているのだろう? ならば、剣士として相手をしてやる」
「お人よ■だな……。だが、剣■は我等は斬れんぞ」
「やってみなければ分かるまい……」
黒衣の剣士には全く揺らぎは見えない。
ただ、ただ超然と佇んでいる。
ハルバート使いはマントの下でほくそ笑んだようだった。
「面白い……。相手になって■らおう」
月明かりの下、二つの影法師が向かい合う。
どちらが先に動いたかは定かではない。
二人の接触は刹那。
一撃で決着はついた。
「滅陽神流剣法・無式八十六型“幽破煌”」
ガルンはそう呟くと刀を鞘に戻した。
「お見事……」
ゆっくりとマント姿が大地に倒れる。
後には、ただ静寂だけが残った。
最初のコメントを投稿しよう!