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「上手く隠れたつもりだろうけど、“装備品がアダになっている”よ。残念ながら僕にはばれている」
アスラージュの声に舌打ちが答えた。
地面の至る所から粉塵が立ち上がる。
砂煙の中から、全身黒いターバンに身を潜めた鎧姿の人間達が現れた。
いや――人間のフォルムに近いが人間では無い。
全員が綺麗に干からびている。
「サンド・ウォーカーだ」
クロシードはそう呟くと、生唾を飲み込んだ。
サンドウォーカーとは荒野で死んだ人間などに悪霊が憑き、旅人を襲うアンデットのようなものだ。
しかし、それにしても数が多過ぎる。
軽く三十体はいるだろう。
ウォータルは辺りを見回してから指示を出す。
「クロシードは浄化の祈りを! レーヴェは面攻撃で奴らを近づけさせるな! 私はクロシードを守る。アスラージュは伏兵に目を向けろ!」
「了解」
「了解です」
「りょ、了解だよ」
三者三様に答えると、クロシードは直ぐさま呪文を唱えだした。
その音に引かれるように、サンドウォーカーが歩き出す。
まるで砂糖に群がる蟻のようだ。
レーヴェは直ぐさまチェーントーラスを取り出した。
こんな早いデビュー戦が待っているなど、思いもよらない事である。
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