孤影を追う者 #2

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     ◇ 「あっちゃ~」 と、棒読みで感想を述べたのはアスラージュだった。 クロセリスとの戦いの後に、気を利かせて逃げ出した馬と無くした鉄球を拾い、仲間の元に帰ってきた第一声がこれである。 そこには巨大な氷の華が咲いていた。 中には、三人の人影が封じられているのが見て取れる。 それが誰かは言うまでも無いだろう。 「敵を取り逃がすとは腕が落ちたかアスラージュ?」 悪態をついたのは、氷の華の前に陣取るウォータルだ。 その横には、腕を治癒しているクロシードの姿があった。 レーヴェは少し離れた所で、馬の面倒を見ている。 「相変わらず容赦ないな~ウォータルは」 「貴様こそ手緩いぞアスラージュ」 「しかし、ここまでやらなくてもいいんじゃないか?」 「馬鹿か貴様は? 我々の任務を忘れたのか。今は一刻を争う時だ。邪魔に成りそうな障害は少ないに越した事はない。敵を見逃すなど以っての外だ」 合理的過ぎて面白みが無いと、アスラージュはぼんやりと考える。 王宮近衛騎士団の仕事は栄えある職務だが、城勤めが長すぎるデメリットが存在した。 外出任務と言うのは、そんな武闘派で慣らした人間にはこの上ない娯楽と言えよう。
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