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レーヴェ達一行は不毛な荒れ地を抜け、湿地帯に入った。
馬を使った行軍のアドバンテージが、そろそろ出てもおかしくない頃合いである。
ガルンが戦後そのまま徒歩で移動していると考えると、その体力と移動速度が驚異的だと言う事が分かるだろう。
「ちょっと待った」
と、アスラージュが声を出したのは、すすきに似た草が生い茂る土地に入った時だった。
用心深く辺りに視線を送る。
すすきの高さは成人男性の胸近くもあり、待ち伏せには持ってこいの場所と言えよう。
「追っ手か、待ち伏せか?」
ウォータルが不機嫌そうに舌を鳴らす。
ガルンに追いつけない事に、流石に焦りを感じ出したようだ。
根回しも無い状態で、余り他国の中心に侵入したくないのは、正直な感想であろう。
普通に考えれば、カシアジイーネ連邦共生国の追っ手か、盗賊当たりが妥当な所だろうか。
「妙な……気配だね。これは……」
アスラージュは馬から飛び降りると、無造作に草を掻き分けて先に進む。
するとしゃがんだ為か、アスラージュの姿が見えなくなった。
レーヴェ達も警戒しながら馬を降りる。
これだけ見通しが悪いと、馬上では狙ってくれと言わんばかりな為だ。
「どうしたアスラージュ?」
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