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黒き戦鬼 #2
ウォータルの質問に答える様にアスラージュは立ち上がった。
何故か渋い顔をしている。
アスラージュは両手で馬に戻れと、ジェスチャーしながら自身も戻りだした。
「人が倒れてたよ。弓兵から魔術師、戦士や僧侶、アサシンに忍者までいる。その数ざっと五十人」
「五十人?! それは全部追っ手なの?」
レーヴェが不安そうな声を上げる。
しかし、アスラージュは首を振るだけだった。
「分からないね。何せ全員死んでいる。それも無傷で」
「……?」
三人は顔を見合わせる。
辺りには特に争った後も見えない。
そもそも待伏せしている人間が、逆に虚を付かれたとしても、争わずに全滅とは考えにくい。
「どう思う?」
アスラージュは疑問を三人に投げかけた。
アスラージュ自身は匙を投げたのか、大きく両手を広げて見せている。
お手上げと言う意味らしい。
「辺りに戦闘の痕跡も、残留魔力も感じられないから……魔術じゃないと思う」
レーヴェが魔術師からの一意見を述べた。
すすきだらけで死体もよく見えないが、破壊跡や血飛沫も確かに見えない。
「大規模な呪殺ではないでしょうか? それなら不可能ではないのでは?」
「五十人全てをか? 呪殺師が何人必要だ」
クロシードの予想に、ウォータルは直ぐにダメ出しをする。
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