黒き戦鬼 #2

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バレルは走りながら、両手の平を叩く。 その瞬間、両手に赤い靄が生まれた。どちらかと言うと赤い泡の郡体のように見える。 「燃え■れカス!」 ガルン目掛けて赤い靄を投げつけた。 ガルンはそれを上半身を反らすだけで躱そうとし―― 「?!」 直前でそれは大気で爆ぜて豪炎と化した。 溢れる炎の波紋。 それはガルンを飲み込みむと、渦を巻いてそのまま消え去る。 しかし、それを見てバレルは何故か目を細めた。 (手応えが……?) 警戒した瞬間――ガルンが背後に現れた。 目を剥くバレルの胸を、背後から刀が貫く。 「滅陽神流歩法・黒霞」 ガルンの声が背後から耳元に届いた。 心臓を貫いた一撃は、完全に即死クラスの致命傷である。 だが――バレルはそこで狂気的な笑みを浮かべた。 体から茶色い靄が溢れ出す。 ガルンはそれに不吉なモノを感じて、後方に飛びのいた。 その靄に触れたマントの端が、まるで風化するように砕けていく。 「おしい、外し■か」 「……?!」 バレルは舌打ちしながら振り返る。 完全に即死の筈だが、赤髪の青年は何食わぬ顔だ。 そこでガルンは背後に忍び寄る影に視線を送る。 既に精霊の瞳で動きは把握済みだ。
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