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冥夢の幻域を抜け出る時は、憤った感情の為に冷静な思考が働いていなかった。
あの現場を抜けるだけで、何十人の人が“虚理の殺意”で死んだか分からない。
その後もそうだ。
どれだけの生物が、歩みと共に死んでいったかは謎である。
つい先程も、待ち伏せをしている謎の一団を“精霊の眼”で看破し、思わず障害として認識してしまった事から“虚理の殺意”が溢れ出してしまった。
結果、彼等は殺気に当てられ全員絶命させてしまったのである。
歩く死神。
死を運ぶ禍。
これではかつてクフルと呼ばれる星狼が、危惧した未来そのままではないか。
「これじゃあ……。クフルにいつ殺されても文句は言えないな」
思わずガルンは苦笑いを浮かべた。
これではおいそれと村や町にも寄れない。
精神抵抗の低い、子供や老人から皆殺しにしてしまうだろう。
パリキスの肉体を保全するため直ぐにでも近隣の集落に向かいたい所だが、それもこの状態ではままならない。
今は妖刀“蝶白夢”の力で水の結界を張り、少しでも体温や周り温度を下げる事が精一杯である。
ガルンは大きく吐息を吐くと座禅を組んだ。
チャクラを最速で練り上げる。
チャクラを練り上げるのには意味があった。
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