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チャクラはプラーナの経絡であり、エーテル体のエネルギー・センターでもある。
体力回復、気力回復、霊力回復、怪我の治療、浄化作用と様々な恩恵を生むが、今、ガルンが求めているのは大地の下を這う気脈とのアクセスだ。
自然の気を取り込む事により大地と一体化し、己を無と化す。
今のたぎる憎しみを落ち着かせるには、持ってこいの行為の筈だ。
だが、それが上手くいかない。
チャクラは練り上げられるが、気脈と同調出来ないのだ。
(やはり……駄目……か!)
ガルンは大地に拳を叩きつけた。
荒らぶる怒りが常に燻っている。
チャクラ自体は冥魔大戦以降、少しずつ回復して今では四つまでは駆動していた。
酷使し過ぎて、何個か潰れている可能性は否定出来ない。
ペインミラーの為に使い捨てたチャクラは絶望的であろう。
“虚理の殺意”に目覚めてから、霊妙法も練ることが出来ていない。
元々微細なチャクラコントロールが出来なかったガルンに取って、心から生まれて来る異質な力はさらにバランスを崩す要因なのだろう。
(集落には行かなければならない……。だが、今の状態では、保全施術する魔術師も殺してしまう可能性が高い)
ガルンは己の手を見つめた。
ゆらりと黒い炎が生まれるが、それはゆっくりと消えていく。
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