79人が本棚に入れています
本棚に追加
バレルは叫びながら両腕に付けた黒い鉤爪をカチ鳴らす。
ガルンはそれを不思議そうに見つめた。
何故か以前、“同じような色の武器”を見たような気がする。
「諦めろメルセス。バレルは勝手にや■せた方が良い」
もう一人のフードコートはそう呟くと、手にした黒い鞭をしならせる。
「ロッシュ! こ■つは勝手にやらせると手に負えなくな■ぞ。“仲間殺し”のバレルの通り名を忘れるな」
メルセスの言葉に、バレルは腹を抱えて笑い出した。
「“デシメーター【大量虐殺者】”メルセス・リド・エクフレアがよ■言うじゃねぇーか。てめぇー■能力こそ、えげ■ねぇくせによぉ」
「何だと?!」
「止めておけメルセス!」
バレルに牙を剥くメルセスを、ロッシュと呼ばれた男が素早く止める。
「我々には時■が無いのを忘れるな!」
その言葉に二人の顔付きが変わる。
しかし、それも一瞬。
バレルは唇の端を吊り上げて笑い出した。
「そんな■ん分かってんだよ糞共! 俺は俺の■りたいようにやる! 誰も文句■言わせねぇ!」
そのままガルン目掛けて走り出す。
それを見てメルセスは、苛立ちを隠そうともせずに舌打ちした。
彼等には仲間意識は無い。
ただ同じ境遇にいる囚われ人と言う認識だけだ。
最初のコメントを投稿しよう!