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黒き戦鬼 #3
「気づいていないようだな……。貴様も有り余る殺傷能力が高くとも、ただの人間と言う事だ。いや……仮そめと言うべきか」
「意味分かんねぇー事、■ざいてんじゃねぇよ!!」
バレルが両手を合わせる。
合わせた手の中で空気の性質が変化――する前に、その攻撃モーションはそこで凍りついた。
目の前にいた筈のガルンの姿が無い。
「滅陽神流歩法・黒霞」
背後から声が聞こえた時には遅かった。
振り向くより先に本能が逃げろと囁く。
それが功を奏した。
背後から伸びて来る切っ先を体を捩って躱す。
そのまま横っ飛びで、右方向に跳躍した。
距離を空けて元いた場所に目を向けると、ガルンが平然と立っている姿が見える。
「……存外、口調とは違って器用なものだな」
ガルンは刀を降ろすと、ゆっくりとバレルに向き直った。
「てめぇ……。どんなマジック使■やがった! 動きが出鱈目に速く■ったぞ?!」
バレルは引き攣った顔で左腕に触れた。
左腕の肘から先が無い。
残りの先はガルンの足元に落ちていた。
炭のように黒く燃えている。
避けたと思った矢先、刀から漏れ出た黒い炎が左腕を飲み込んでいたのだ。
黒い炎はそのまま、ガルンの攻撃範囲の拡大に繋がるようだ。
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