黒き戦鬼 #3

1/4
前へ
/35ページ
次へ

黒き戦鬼 #3

「気づいていないようだな……。貴様も有り余る殺傷能力が高くとも、ただの人間と言う事だ。いや……仮そめと言うべきか」 「意味分かんねぇー事、■ざいてんじゃねぇよ!!」 バレルが両手を合わせる。 合わせた手の中で空気の性質が変化――する前に、その攻撃モーションはそこで凍りついた。 目の前にいた筈のガルンの姿が無い。 「滅陽神流歩法・黒霞」 背後から声が聞こえた時には遅かった。 振り向くより先に本能が逃げろと囁く。 それが功を奏した。 背後から伸びて来る切っ先を体を捩って躱す。 そのまま横っ飛びで、右方向に跳躍した。 距離を空けて元いた場所に目を向けると、ガルンが平然と立っている姿が見える。 「……存外、口調とは違って器用なものだな」 ガルンは刀を降ろすと、ゆっくりとバレルに向き直った。 「てめぇ……。どんなマジック使■やがった! 動きが出鱈目に速く■ったぞ?!」 バレルは引き攣った顔で左腕に触れた。 左腕の肘から先が無い。 残りの先はガルンの足元に落ちていた。 炭のように黒く燃えている。 避けたと思った矢先、刀から漏れ出た黒い炎が左腕を飲み込んでいたのだ。 黒い炎はそのまま、ガルンの攻撃範囲の拡大に繋がるようだ。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

125人が本棚に入れています
本棚に追加