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「君が、君が一番良く分からない! 行動原理もさっぱりだよ。何故そんなアドバイスをくれるの。 君は信用していいの!?」
「俺は……白でも黒でもない。灰色だ。俺の邪魔さえしなければ、貴様の敵に回る事はない。だが、味方とも思うな」
レーヴェはそこで沈黙した。
振り向きもしない背中は、何故か明確な意思表示に見える。
捨てられた仔犬のように、レーヴェはその背中を見つめる事しか出来ない。
(……このまま、メルテシオンに行って……焦らず情報を待つのが正解なのかな……)
そう思った直後、頭に声が聞こえたような気がした。
『それ■無理だね。そこまでの時間は■いよ』
悪魔の甘い囁きのような、不気味だが良く通る美声が響く。
レーヴェは何故か悪寒が走るのを感じた。
そのせいか、バランスを崩して枝から滑り落ちる。
一瞬の後悔。
余りの間抜けぶりに辟易する。チェーントーラスを取り出す暇もない。
身体を固くして落下に備えいると、下から身体を掬い上げられたのを感じた。
「えっ……?」
目を白黒させていると、いつの間にかガルンがレーヴェを抱え上げていた。
重さを感じない軽快さで大地に降り立つ。
「貧弱で貧相でそのうえドジか……。よくそれで生き残れたものだな」
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