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「一方的と言うのも酷か……。いいだろう、一度だけ貴様に手を貸してやろう。進むべき指針を見失った時に、必ず俺が助けてやる。それが例えどんなに窮地で絶望的な状況でも、貴様の選んだ道が間違っていたとしても、必ず俺が貴様の剣となって進むべき道を切り開いてやろう。まあ……、俺はこの手の約束を最期まで守れた試しがないがな」
ガルンは何故か珍しく苦笑いを浮かべた。
仏頂面の少年にしては珍しいが、頭の中に守れなかった女性の顔が次々に浮かんだのだから仕方が無い。
「一度だけ……助けてくれる?」
「一度だけだ。それをゆめゆめ忘れるな」
ガルンにそう告げられ、レーヴェは何度も頷いて見せた。
縋り付きたいような、恐れ多いような妙な口約束。
だが、たった一人でも“味方がいる”と言う安堵感は、気持ちにゆとりを齎したようだった。
「分かった。ありがとう。嘘でも嬉しいよ!」
そう呟いて微笑む顔を見て、ガルンは少し戸惑った。
太陽に笑うような少女を思い出したのだ。
心臓を締め付けるような痛みが走った気がした。
実際、冥魔大戦から一週間も経っていない。
(俺も……酷い人間だな……)
死んだ仲間を悼む暇も無く進んできた事を思い出す。
本当は押し潰されそうな気持ちを思い出さないように、がむしゃらに走ってきたのかも知れない。
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