116人が本棚に入れています
本棚に追加
「トーラス呪詠式・ソロ“叫ぶ風霊”!!」
悲鳴に近い声が部屋中に響く。
突如巻き起こった烈風は、部屋にいた二人の男どころか、傷んだ宿屋の壁も吹き飛ばした。
◇
「ふざけんなよ……この暴風女? 問答無用で部屋ごと吹き飛ばすなんて有り得ねぇーだろ」
不機嫌丸出しで、赤毛の少年は手にしたフォークをウインナーに突き刺した。
場所も良く分からない町の古びた定食屋。
街道付近なだけで特に名産も観光名所もなさそうな場所で、三人は遅い朝食にありついていた。
メニューは朝食メニューと名を打った、パンにコンソメスープ、目玉焼きにウインナー二本、申し訳程度にポテトサラダがのったものだ。
「そこは仕方が無いぞ少年? レディーの寝室にいた俺達に非があるのは火を見るより明らかだからな?」
円テーブルで、少年の右隣に座る青年が陽気に答える。
その横にレーヴェも居心地が悪そうに食事をしていた。
「はっ! そんなもん知るかよ惚け茄子。誰が好き好んで、こんなガキの裸を見てぇーかよ。そもそも、何で俺がこの暴風女の部屋にいたんだ?」
少年の言葉にレーヴェの頬が引くつく。
どう見ても少年の歳は十六、七にしか見えない。
外見年齢的にはレーヴェと大差ないように見える。
最初のコメントを投稿しよう!