伍の焦点

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「トーラス呪詠式・ソロ“叫ぶ風霊”!!」 悲鳴に近い声が部屋中に響く。 突如巻き起こった烈風は、部屋にいた二人の男どころか、傷んだ宿屋の壁も吹き飛ばした。       ◇ 「ふざけんなよ……この暴風女? 問答無用で部屋ごと吹き飛ばすなんて有り得ねぇーだろ」 不機嫌丸出しで、赤毛の少年は手にしたフォークをウインナーに突き刺した。 場所も良く分からない町の古びた定食屋。 街道付近なだけで特に名産も観光名所もなさそうな場所で、三人は遅い朝食にありついていた。 メニューは朝食メニューと名を打った、パンにコンソメスープ、目玉焼きにウインナー二本、申し訳程度にポテトサラダがのったものだ。 「そこは仕方が無いぞ少年? レディーの寝室にいた俺達に非があるのは火を見るより明らかだからな?」 円テーブルで、少年の右隣に座る青年が陽気に答える。 その横にレーヴェも居心地が悪そうに食事をしていた。 「はっ! そんなもん知るかよ惚け茄子。誰が好き好んで、こんなガキの裸を見てぇーかよ。そもそも、何で俺がこの暴風女の部屋にいたんだ?」 少年の言葉にレーヴェの頬が引くつく。 どう見ても少年の歳は十六、七にしか見えない。 外見年齢的にはレーヴェと大差ないように見える。
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