伍の焦点

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太陽が傾き始めた頃、三人は再集結していた。 場所は定食屋の控え室である。 殺風景この上ない場所は、通路のような狭さだ。 着替えようの戸棚以外は、椅子が二脚しかない。 「こう言う茶番は止めて欲しいんだがな」 円城が苛立ちを隠さずに悪態を付くと、荒々しく椅子に腰掛けた。 機嫌の悪さが身体に現れているのか、貧乏ゆすりをし始める。 「泣きたいのはボクの方だよ……」 溜息をついて椅子に座ったレーヴェは、女性用の給仕服姿だ。 古びた定食屋に似合わないハイカラなデザインであり、スカート丈がかなり短い。 店主の趣味だろうかと、レーヴェはげんなりする。 「まあ~元気を出そうではないか少年少女達! これも一つの試練だと思って愉しもうじゃないか!」 意味不明に陽気に笑うクェイガーを、二人は半眼で睨む。 「てめぇーはジャガ芋の皮を剥いていただけだろうが! こっちはひたすら薪割りだぜ」 「ボクなんか、こんな恥ずかしい服で接客だよ!」 「まあ、落ち着きたまえボーイ&ガール。無銭飲食は犯罪だ。きっちり身体で返すのは筋ではないか」 二人を宥めながら、クェイガーは何故かキメポーズを決めている。 ワイルドな風貌に似合わぬふざけた行動は、愛嬌があると言うべきか、おめでたい頭の主と言うべきか判断に苦しむ。
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