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太陽が傾き始めた頃、三人は再集結していた。
場所は定食屋の控え室である。
殺風景この上ない場所は、通路のような狭さだ。
着替えようの戸棚以外は、椅子が二脚しかない。
「こう言う茶番は止めて欲しいんだがな」
円城が苛立ちを隠さずに悪態を付くと、荒々しく椅子に腰掛けた。
機嫌の悪さが身体に現れているのか、貧乏ゆすりをし始める。
「泣きたいのはボクの方だよ……」
溜息をついて椅子に座ったレーヴェは、女性用の給仕服姿だ。
古びた定食屋に似合わないハイカラなデザインであり、スカート丈がかなり短い。
店主の趣味だろうかと、レーヴェはげんなりする。
「まあ~元気を出そうではないか少年少女達! これも一つの試練だと思って愉しもうじゃないか!」
意味不明に陽気に笑うクェイガーを、二人は半眼で睨む。
「てめぇーはジャガ芋の皮を剥いていただけだろうが! こっちはひたすら薪割りだぜ」
「ボクなんか、こんな恥ずかしい服で接客だよ!」
「まあ、落ち着きたまえボーイ&ガール。無銭飲食は犯罪だ。きっちり身体で返すのは筋ではないか」
二人を宥めながら、クェイガーは何故かキメポーズを決めている。
ワイルドな風貌に似合わぬふざけた行動は、愛嬌があると言うべきか、おめでたい頭の主と言うべきか判断に苦しむ。
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