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「多分、キーの一つは聖骸だよ。それを起点に人々が動いてる」
得心したような表情のレーヴェを、クェイガーは淡々と見つめた。
確信を得たような、精気の篭った眼力を感じる。
その脈絡も無い言葉には、何か納得する力強さがあった。
「神誓王国メルテシオンの第四王女……“忌み子の姫”か」
「何だそりゃ? 何かいわくでもあるのかよ」
クェイガーの呟きに、円城は疑問を投げ掛ける。
円城にして見れば、出てくる殆どの語句に覚えが無い。
疑問のオンパレードである。
「パリキス・キラガ・メルテシオン。神に呪われた姫君と……何故か記憶にあるな~? その姫に触れられると、等しく呪われて死ぬ……だったか? 妙な噂を聞いた気がするが……」
クェイガーの疑問系の言葉を、レーヴェは苦笑いを浮かべて聞いた。
これは世間一般の噂話だ。
その王女の半身の醜悪さから、勝手に囁かれた風評被害の最たるものである。
この場にガルンがいたならば、問答無用で叩き斬られるような気がしてレーヴェは身震いした。
「とりあえず、それを探しに行けば記憶を取り戻す手掛かりになるのか?」
円城の言葉に二人は頷く。
「現状ではそれが一番賢明だろうな。そこから情報を手に入れるのがベストだろう。差し当たっての問題は……」
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