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「てめぇーら、誰が三人同時に休憩取れと言った! 一人ずつに決まってんだろうが! おいウェイトレス! 客だ、客。お前は休憩は後だ、後!」
店主のがなり声が唐突に乱入してきた。
引き攣った顔でレーヴェがそれに返事をする。
「差し当たっての問題は……金だな」
クェイガーの疲れたような回答に、レーヴェと円城はうなだれる様に頷いた。
◇
日が暮れた頃。
丸一日の仕事を熟し、ようやく三人は解放された。
不平不満を言いつつも、円城がしっかり仕事を熟していた事にレーヴェは少々驚く。
荒々しい態度は裏腹に、中身はかなり生真面目なのかも知れない。
逆に、不真面目なのはクェイガーである。
女性の客が来ると、勝手に給仕をしにくる姿は軽いの一言だ。
仕事後、無一文を考慮してか、店主が店の倉庫の一角と、店の仮眠室を借宿として提供してくれる事になった。
厳つい顔だが、根は面倒みの良い性格らしい。
仮眠室にはレーヴェが。
倉庫には残りの二人だ。
二人に渡されたのは寝袋だけだが、無いよりはマシである。
仕事の疲れからか、レーヴェは早い時間から仮説ベットに横になった。
(相変わらず訳が分からない日々だよ……。トーラスどうしよう)
宿屋に差し押さえられた、トーラスフルートが無いのは心許ない。
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