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町の北側にある雑貨屋に向かうと、入口の前には不貞腐れた円城が突っ立っていた。
赤い短髪に目付きの悪い顔立ち。ラフな服装は質の悪いならず者の様に見える。
レーヴェは急いでその元に向かうと、円城は苛立った口調で愚痴り出した。
「あのバカ、かなりの無頼漢だぞ」
円城は八つ当たり気味に、昨日起こった事を話し始める。
仕事の後、クェイガーは金も無いのに円城を連れて、町で一番でかいバーに繰り出したらしい。
そこで浴びるように酒を飲み、柄の悪い連中に喧嘩を吹っかけ、その全員をのす。
そして、迷惑料としてそいつらの有り金を全て剥ぎ取り、店を出てから敢えて目立つ場所に陣取ったのだ。
そこに、先程喧嘩に負けた連中が仲間を引き連れて現れる。
後は芋づる式だ。
襲ってきた連中をタコ殴りにし、そいつらのアジトを案内させて、そこにいた全員を更にのす。
その後は、のした連中から金品を巻き上げると言う、端的に言う強盗行為を繰り返したのである。
それを聞いてレーヴェは微妙に体を引いた。
顔はかなり困惑している。
「奴いわく町のゴミ掃除をしながら、小金稼ぎの一石二鳥の妙案だそうだ」
付き合わされた円城は眠たそうに欠伸をした。
昨日は一日肉体労働をしながら、睡眠不足では仕方が無い。
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