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一通りの身支度を整えると、三人は世話になった定食屋に足を向けた。
無論、今回は金があるのでただの客である。
レーヴェが起きた時間が正午近くだった為、今はとうに昼食時期を過ぎていた。
そのおかげで客足は全く無い。
貸し切りの体である。
食事を一通りの済ませると、クェイガーはテーブルの上に地図を置いた。
西方大陸の大半を網羅した略図である。
徐にズボンからコインを取り出すと、地図の下の方に乗せる。
「此処が今いる場所、カシアジイーネ連邦共生国の南方国、フリハンのシガゼ町と言う所だ」
クェイガーは町を散策しながら、いろいろと情報を集めたらしい。
この手の行動はそつがなく、とにかく玄人臭い。
クェイガー自身も、自分はこのような事をする仕事をしていたのだろうと、素直に思っていたぐらいだ。
警邏隊か何かをしていたのかとも考えられるが、町の暴漢に対するやり方は明らかに堅気には見えない。
どちらかと言うと、ハンターか盗賊のような手腕だ。
「それで、目的の姫とやらが居るのは何処だよ」
円城の質問に、クェイガーは地図を指差して答える。
「此処だ。神誓王国メルテシオン。略図だから距離感が分からんだろうが、馬で旅しても四ヶ月はかかる距離だ」
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