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「四ヶ月?! 何で移動でそんなに時間がかかるんだよ。もう少しマシな移動方法はねぇーのかよ」
円城の悪態も尤もだ。
これでは記憶を取り戻すのに、どれだけの期間が必要か分からない。
「さて、そこで距離をショートカットする方法がある」
「あるなら、始めから言えよな」
「まぁー何だ。モノには順序があってだな……」
「うるせー! 前置きがなげぇーよ。さっさと本題に入りやがれ」
机を叩く円城を見て、クェイガーは呆れた顔をした。
レーヴェは愛想笑いを浮かべるだけだ。
「さて、この国には転移ゲートたる交通手段がある。そいつは地脈を使った魔導機に寄る移動手段で、僅か数瞬で遥か彼方にある同系魔道導機の場所に辿り着く事が可能だ。此処から北に進んだ城塞都市リクタにもある。そこで転移ゲートに乗れば……」
呟きながら、クェイガーは新しいコインを北の国境付近中腹に置いた。
二人はそれをマジマジと見る。
少し上には、マルドゥークとメルテシオンの国境線だ。
これならば移動距離は五分の一も満たない。
「このドゥ・ラ・メート祭壇都市に着くと言う寸法さ。国境からはちと遠いが、陸路で行くより遥かに早い」
円城は口笛を吹くと立ち上がった。
「なら話ははぇーじゃねぇーか! その北の都市とやらにさっさと行こうぜ」
血気盛んな円城とは対照的に、レーヴェは静かに口を開いた。
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