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「わざわざ、回りくどい言い方をすると言う事は、何か不都合があるよね?」
「ご名答! 流石レーヴェちゃん、こっちの脳筋とは違うね~」
円城のこめかみに青筋が走るが、クェイガーは完全に無視して話を続ける。
「問題点は少なからずある。基本的に他国の人間はゲート使用に交通パスが必要だ。まあ、それは俺がいるから何とかなる」
クェイガーの言葉に円城は首を捻った。
軽く流しそうな勢いだが、条件設定がおかしい。
「何でてめぇーがいると通行証がいらねぇんだ? おかしいだろが」
睨みつける円城を見て、クェイガーは小ばかにするように笑い出した。
「やはり君は馬鹿だな~。先程言ったじゃないか? ゲートを使う他国の人間は交通パスが必要だと」
「……?」
「いらないと言う事は、俺がこの国の人間と言う証明じゃないか?」
「えっ?」
と、声を上げたのはレーヴェだ。
記憶が無いのはクェイガーも同じ筈である。
出身国を知っていると言う事は、記憶が蘇ったと考えるのが妥当な所だ。
しかし、実際は違う理由があった。
目を丸くする二人を見て、クェイガーは手品師がタネを見せるように大仰に腕を広げる。
「やれやれ、君達は鋭いのか鈍いのか良く分からんなぁ~。俺はハンターギルドの斡旋所に行ったと言ったではないか?」
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