伍の焦点

20/23
前へ
/35ページ
次へ
「あっ!」 と、間が抜けた声をレーヴェは上げた。 どうやら理由に気がついたらしい。 「斡旋所に“既に”、俺は登録されていたのさ」 そう言うとクェイガーは懐から、ヒラヒラと紙を取り出した。 それは軽い履歴書のようなモノだった。 紙には魔術師ギルドとハンターギルドの正式印が捺印されている。 持ち出し厳禁とも書かれているので、どうやって手に入れてきたのかは謎だ。 それを二人は覗き込んだが、円城は露骨に不機嫌な顔をした。 「何語だぁコレは? 全く読めねぇーぞ」 「大陸共通語だよ? 今じゃ常用語の筈だけど」 レーヴェは不思議そうに円城を眺めた。 名前から東方の出のようだが、円城には基本的に何か微妙なズレのようなものを感じる。 その違和感が何なのかは、明確には判断出来ない。 一先ず疑問は後回しにして、レーヴェは書類を読みはじめた。 「フーリス・クェイガー。ニ十六歳。 カシアジイーネ連邦共生国旧レイハントス出身。精霊使い……? ハイランクハンター」 「たいした情報がないのは、初期登録から内容更新をしていないからだろうな。 それでも、ここの出身とは分かる。身分証明になるハンターライセンスを再発行して貰ったから、ゲートはこれでパス出来る筈だ」
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

116人が本棚に入れています
本棚に追加