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「あっ!」
と、間が抜けた声をレーヴェは上げた。
どうやら理由に気がついたらしい。
「斡旋所に“既に”、俺は登録されていたのさ」
そう言うとクェイガーは懐から、ヒラヒラと紙を取り出した。
それは軽い履歴書のようなモノだった。
紙には魔術師ギルドとハンターギルドの正式印が捺印されている。
持ち出し厳禁とも書かれているので、どうやって手に入れてきたのかは謎だ。
それを二人は覗き込んだが、円城は露骨に不機嫌な顔をした。
「何語だぁコレは? 全く読めねぇーぞ」
「大陸共通語だよ? 今じゃ常用語の筈だけど」
レーヴェは不思議そうに円城を眺めた。
名前から東方の出のようだが、円城には基本的に何か微妙なズレのようなものを感じる。
その違和感が何なのかは、明確には判断出来ない。
一先ず疑問は後回しにして、レーヴェは書類を読みはじめた。
「フーリス・クェイガー。ニ十六歳。 カシアジイーネ連邦共生国旧レイハントス出身。精霊使い……? ハイランクハンター」
「たいした情報がないのは、初期登録から内容更新をしていないからだろうな。 それでも、ここの出身とは分かる。身分証明になるハンターライセンスを再発行して貰ったから、ゲートはこれでパス出来る筈だ」
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