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「そんじゃ、これで転移ゲートとやらは使えるんだな?」
「ああ、使える。だが、一つ問題がある」
クェイガーは神妙な顔で二人を交互に見た。
二人はその迫力に呑まれて生唾を飲み込む。
「問題は……」
「問題は?」
「……金が無い」
クェイガーの回答に二人は沈黙した。
いや、呆れて言葉が出ないだけだ。
何故かしたり顔でクェイガーは腕を組む。
「……何だそりゃ? てめぇーは汚い方法で荒稼ぎしてたじゃねぇーか。何で金が必要なんだ?」
半眼で呻く円城を見て、クェイガーは何故かほくそ笑む。
レーヴェは目を瞬くばかりだ。
「今回稼いだ金じゃ、転移ゲートの通行料一人分に満たないからさ。どのみち旅費と装備品でおけらだがね。転移ゲートは地脈から転移エネルギーを引っ張って来ているが、一度使うとチャージに時間がかかる」
「つまり……?」
「金が必要と言う事だな」
あっけらかんとクェイガーは言葉にしたが、これは仕方が無い事であった。
転移ゲートの広さには限界がある。
そして、一般に解放されているゲートは一度使用すれば三時間から六時間程度のエネルギーチャージが必要だ。
一日で多くて八回、少なければ四回しか使用出来ない。
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