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勿論、こんな便利なモノを使いたい人間はごまんといる。
回数が少なければ、自ずと使用料が釣り上がっていくのは致し方ない事だろう。
「また、お金が必要……」
レーヴェは少しげんなりとした顔をした。
よほど給仕仕事は合わなかったらしい。
実際、着の身着のままで分からない場所に放り出されたのだ。
現実問題、自力で動くにはどうしてもその国の通貨が必要になる。
「ちまちまやんのは性に合わないぜ? もういっそうの事、何かやらかすかオイ?」
円城が薄気味悪い、引き攣った笑みを浮かべる。
投げやり感が滲み出すぎだ。
「まあ、待て。ちょうど良い案件がハンターギルドにあった」
そう言ってクェイガーはもう一枚、新たな紙をテーブルに置いた。
指名手配書のように見えるそれには、血色の悪い男の顔が載っている。
「錬金魔道師ハウゼンベリー。 通り名は“継ぎ接ぎ博士”?」
レーヴェはあからさまに怪訝な顔をした。
賞金首のようだが、魔術師の賞金首は珍しい。
何故ならば、ギルド加入者の不手際は同ギルドで片を付けるのが慣わしだからだ。
大半の魔術師は、その利便性から魔術師ギルドに加入する。
賞金首になりそうな魔術師ならば、魔術師ギルドに粛正されているのが通例だ。
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