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朦朧とした意識を覚醒させたのは、頭に響く嫌な痛みだった。
偏頭痛のように、短い感覚でこめかみに痛みが走る。
(痛っつ……。また、これ……?)
目を開くとそこは質素な部屋の中だった。
家具らしい調度品は何もなく、ベットにテーブル、クローゼットのみだ。
このような単純な造りの建物には覚えがある。
「宿屋……?」
レーヴェはベットの上で、白いシーツに蓑虫の様に包まっていた。
そこからいそいそと出ようとして、手の平に激しい痛みが走る。
ようやくデルエペラに手の平を貫かれた事を思い出した。
痛みから手の平を見るが、デルエペラに貫かれた傷はない。
まるで幻痛を感じているような、奇妙な感覚に目を細める。
痛みにやきもきしながら上体を起こして、ようやく自分が素っ裸な事に気がついた。
「何で……ボクは裸……?」
不思議に辺りを見ると――ベットの端から足が見えていた。
恐る恐るベットの端に体を移動する。
すると、そこには見たこともない、赤毛の少年が転がっていた。
それも素っ裸で。
声にならない声を上げてレーヴェは後ずさる。
(はぁ~?! えっ、なんで、どう言う事?!)
半ばパニックに成りながら、シーツを身体に巻いて辺りを見直す。
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