伍の焦点

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そこで漸く床に散乱している、自分の服らしきものに気がついた。 慌ててそれを取りに動く。 (なんか、酔った勢いでってパターンを聞いた事はあるけど……まさかボクも……?!) 青ざめた顔で床に足を出す。そこで、奇妙な踏み心地にレーヴェは足元を見た。 「……えっ?」 踏んでいる物体をまじまじと見ると、足元にも人が倒れている。 紫色の髪の男性だ。 何故かこちらも素っ裸である。 俯せに倒れている男の背をレーヴェは踏み付けていたのだ。 「っわぁ~?!!」 流石に我慢出来ずに悲鳴を上げる。 レーヴェは慌てて床に向かおうとしたが、人の背中の感触に怖気を感じてバランスを崩した。 そのまま無様に床に倒れて転がる。 古い宿屋なのか、建物が盛大に軋む音が響いた。 「うるせぇーなぁ?!」 その音で目覚めたのか、赤髪の少年はゆっくりと上半身を起こした。 「いてて……何だね全く」 床で寝ていた為か、首を押さえて紫髪の青年も頭を上げる。 二人が見た先には、あられもない姿で転がっているレーヴェの姿があった。 「何だてめぇーは?」 「おー……眼福」 二人の言葉にレーヴェは顔を赤らめると、床に服と共に転がっていたトーラスをつかみ取る。
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