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「てめぇーは援護もまともにできねぇーのか! オイ、レーヴェ! てめぇーもビビってねぇーで手をかせ!」
叫ぶと一緒にダッシュ。
拳を握り込むと脚に向かって一直線だ。
本気で殴る気満々である。
レーヴェは恐怖から我に返って直ぐにトーラスチェーンを構えた。
巨人がゆっくりと腕を振り上げる。
このサイズの質量なら、生身の人間など一撃でぺしゃんこだ。
子供が無邪気に虫を潰そうとするような無造作な一撃。
その下を、円城はまるで恐怖を感じないかのようにかい潜る。
「オラァ!!」
巨人の脛に渾身の拳を叩き込む。
明らかに場違いな体格差だ。
相手の巨体は円城の四倍以上。
体重差は言わずもがなだ。
圧倒的質量が円城の前に立ちはだかる。
だが、結果はアッサリと出た。
巨体は崩れるように尻餅をついたのだ。
打ち込まれた脛の裏は、爆薬で吹き飛ばされたように綺麗に砕け散っている。
「もう一発行くぞ。オラァ!」
円城は腰を低く構えて、右腕を引く。
右拳に見えざる力が集約して行く為か、大気が歪んで見えた。
尋常ならざる一撃に巨人は恐怖したのか、慌てて右腕を振りかぶる。
蟹の腕が乱暴に振り下ろされた。
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