継ぎ接ぎの鼓動 #2

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「舐めんなぁデク人形!!」 円城はそれを迎撃するように拳を繰り出す。 はたから見れば、バカバカしい立ち合いだ。 二メートル近くの甲羅の手と拳で殴り合う。 いくら名うての拳闘士と言えど、馬鹿正直に正面からぶつかるのは自殺行為に近い。 「オイオイ、マジかよエンジョウ少年! 幾ら何でも無謀だろうが!」 クェイガーは叫ぶとその場で蹴りを繰り出した。 えぐり込むように打ち出された蹴りから、突風が生まれる。 「ゲイル・ランサー!!」 「邪魔だぁ! 砕け散れ!」 大気が引き裂かれるような怒号が空間で弾けた。 弾ける大気の波が辺りに飛び散り、木々が激しく震える。 円城の一撃は甲羅の腕を肩まで爆散させ、クェイガーの撃ち放った竜巻は頭を吹き飛ばしていた。 地響きを起こしながら倒れる巨人を見て、円城は舌打ちする。 「てめぇー。何、格ゲー見たいな技名言いながら止めさしてんだぁ。こいつは俺の喧嘩だろうが!」 眉間に青筋を立てる円城を見て、クェイガーは愛想笑いを浮かべた。 「ははは。お前がこんなに強いとは思わなくてな。それよりカクゲーとは何だ?」 「はぁ? てめぇーは格ゲーも知らねぇーのか。格ゲーってーのはな。ゲームの……一種……で?」
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