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「そうだな。俺も殴る時に掛け声つけるか。気合い入りそうだしな……気合いパンチ……はダサいな。気合いナックルとかにするか?」
左右の拳を振りながら、技名を唱えはじめる。
「気合いから離れたらどうだね? それにナックルとはナックルダスターの事か?」
「ナックルダスター?」
「意味を理解してないで使う気だったのか。面白いな円城?」
棘のある言葉に感じて、円城は不機嫌そうに眉を上げる。
噛み付きそうな形相に、クェイガーは頬を指でかいた。
「それならバニシング・ナックルとかどうかな? 見えないけど凄いパンチだし」
名前を提案したレーヴェに二人は顔を向ける。
不思議なモノを見るような視線に、レーヴェは一歩後ずさった。
凝視されると何かプレッシャーを感じるのは、レーヴェのネガティブな思考故だろうか?
「いいぜそれ! 気に入ったぜ。必殺技っぽくてな」
「同じく。レーヴェちゃんのネーミングセンスは悪くない」
二人はニカッと笑いながら、拳から親指を上げてグッドサインを贈る。
レーヴェは安堵して胸を撫で下ろした。
三人がそのやり取りをしていると、再び地面が隆起する。
今度は無数にである。
それに気づいて三人は直ぐさま身構えた。
地面から現れた人型が次々に立ち上がる。
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