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昆虫だ。
人の形をした様々な昆虫人間。
人間と昆虫を融合させて作り上げたハイブリットだろうか。それとも、ただの実験の失敗作か。
「ただのインセクト? じゃなさそうだな。昆虫と人間を掛け合わせたのか。悪趣味なもんだな。スマートさに欠ける」
クェイガーは辺りを一望すると、背後にも現れた昆虫人間に舌を巻いた。
円状にとり囲まれている。
「包囲殲滅か。昆虫の頭じゃやらなさそうな戦術だな」
「当然だ。我が指揮をするのだからな」
唐突な声と共に大地に魔法円が拡がると、中心から黒いローブの男が迫り出してきた。
東方大陸の能面に似た無表情な顔の、不健康そうな男だ。
「錬金魔道士ハウゼンベリー?」
「わさわざそっちから来るとは好都合じゃねぇーか」
「これは捜す手間が省けたな。しかし、魔道士とは穴蔵に引きこもるばかりかと思ってたがね」
三人の視線に晒されながらも、継ぎ接ぎ博士と呼ばれる男は余裕綽綽である。
「全く……次から次からとハエどもが。せっかく新築したばかりの魔導工房を貴様らの汚らしい血で汚す気にはならん。此処で解体してモルモットにしてやるわ」
邪悪な笑いの中には、少なからず怒りが見える。
散々、追っ手に狙われ辟易しているのだろう。
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