継ぎ接ぎの鼓動 #2

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「それが何だってーんだ。昆虫の脆さもそのままなんじゃねぇーか? 昆虫なんて中身スカスカだからな」 「そう思うなら戦って見るが良い」 「やってやるぜ! まとめて全部標本にしてやる」 円城は拳を握り込むと走り出した。 それに合わせるようにレーヴェはトーラスチェーンを三つ回しだす。 「トーラス呪詠式・トリオ“進撃の騎行”!」 その声と共に、三人の体が淡い光りに包まれる。 筋力、耐久力、精神力強化を同時に行う身体強化魔術だ。 クェイガーは大きく口笛を鳴らす。 円城は魔術がかかった事自体理解していないようだ。 「とりあえず害虫駆除をおっぱじめるぜ!」 円城は一直線にハウゼンベリーに向かう。 それを遮るように虫人間が立ち塞がる。 正面には甲虫型。 左右から蟷螂と蟋蟀型だ。 甲虫は腰を据えると、角を低く構える。 「オラぁ! 砕け散れ!」 放たれる拳を、下から掬い上げるように角が迎撃に向かう。 だが、角が腕を捉える前に拳は頭に直撃していた。 レーヴェの魔術の加護か、円城の踏み込みの急加速かは謎だ。 一撃で甲虫人間は明後日の方向に吹き飛ぶ。 左側から迫り来る蟷螂の鎌を、前に踏み込む事で躱すと肘鉄を鳩尾に叩き込む。
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