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継ぎ接ぎの鼓動 #2
大地を突き抜けて黒い巨人が立ち上がる。
現れた衝撃か、辺りの木々が不自然に左右に割れていく。
まるでその巨体が動きやすいスペースを作る為のように、引き潮に流される砂のように。
「おいおい。何の冗談だ」
身長八メートルはゆうに越える巨人。
その姿は継ぎ接ぎだらけの奇妙な姿だった。
人型の体に兜虫の頭、両腕は巨大な蟹であり、尾てい骨から恐竜の尻尾が生えている。
レーヴェはその姿に恐怖を感じた。
冥夢の幻域で出会った餓鬼の姿を連想する。
余りに不格好な合成獣。
「はっ! 継ぎ接ぎ博士とはまんまじゃねぇーか。ようはフランケンシュタインよろしくって事か」
円城が嬉々とした表情で拳と拳を叩き合わせる。
巨体を見ても怯む様子も無い。
その姿を見て、クェイガーは満足そうに戦闘体勢をとった。
「若いって言うのはいいね~。お兄さん、こう言うグロテスクなの苦手何だよな……だから。そうそうに退場願うとしよう!」
クェイガーは叫びながら腕を振り払う。
その瞬間、生まれた突風が巨体に叩き込まれた。
周りの木々が軋む中、モザイクの巨人は身じろぎもしない。
「ありゃ? これだけデカイと倒れもせんか」
クェイガーの適当な言葉に、円城が険しい顔で睨む。
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