冥魔到来 #2

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「はっきりしているのは僕らが囮として使用したい聖骸は、神誓王国メルテシオン第四王女の遺体って事だよ」 「つまり何だ?」 「第四王女は冥魔族との最終決戦地で亡くなった。つまり、“冥魔族との戦いが終わっていなければ聖骸は地上に存在しない”。最終決戦が行われていないなら、第四王女は今だ健在って事だよ」 「はあっ?」 腑に落ちないと言いたげに、円城は露骨に顔を歪める。 ボタンを掛け違えたような、しっくり来ない違和感が拭えない。 円城は額に手を当てて瞼を閉じた。 「ちょっと待て。レーヴェの言っている事は可能性の話だろが? そもそも、それが正しければ俺達が追っている聖骸は、今の世には存在しないことになるんじゃねぇーのか?」 「円城の意見に同意だな。それでは、聖骸を追うと言う事自体が意味がなくなる。根本的に手にしている情報に間違いがあるんじゃないかな?」 クェイガーも疑問に賛同する。 記憶の途切れた人間の情報だ。 間違いがあるとするなら、あやふやな記憶の方が怪しい。 つまり、レーヴェの記憶していた情報に間違いがあったと言う判断だ。 レーヴェ自身もその可能性も考えて見る。 だが、それではグライドとの出会いから、アスラージュ達三人との旅。そして、ガルンとの出会いも全てが間違いと言う事に成りかねない。
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