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冥魔到来 #2
「なに、可及の案件があってな。一度本国に戻ったのさ。それに、この二人を前線に連れていくのも任務でな。道を通してくれるかな?」
クェイガーの言葉に男は敬礼すると、兵士達に直ぐに道を空けさせた。
不満そうな顔なのは、彼等はクェイガーの顔を知らないからだろう。
顔パスと言うのは通常有り得ない手順である。
ついでとばかりに、馬を用意させているのもぬかりが無い。
「冥魔族って何だ?」
円城は疑問を小声でレーヴェに投げかける。
「……冥魔族。外世界から来た侵略者。生命を食いつぶしに現れた世界の敵。でも……」
「でも?」
「冥魔族との戦いは終わっていた筈……。ボクの記憶では戦争は収束していた……」
「生き残りがいたとかか?」
円城の疑問にレーヴェは大きく首を振った。
記憶が混乱しているのか、記憶喪失の影響かと疑念が浮上する。
(おかしい……。記憶が無いのはあの地獄以前……。確かにボクは戦後に、ガルンを追ったはずだ。なのに……今現在、まだ、冥魔族と戦争をしている?)
立ち並ぶ軍属の人間達を観察する。
明らかに出兵の兵には見えない。
完全に守備兵だ。
(これは国境警備部隊……。冥夢の幻域には四国で同盟を組んで、大規模の進攻部隊を送ったはず)
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