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やつれたような顔を見て、二人は奇妙な懸念を感じた。
まるで重度の病気に侵された患者のようだ。
「奴らの一人に……話は聞いた。取り合えず此処を離れるんだろ?」
「そうだけど……大丈夫?」
顔を覗き込むレーヴェを見て、円城はもたれていた壁から離れた。
その背の壁に記号がかかれたプレートがある。
HL―003とかかれたプレートだが、それは無造作にバツ印しがなされていた。
クェイガーはそれに気づいて先程見た資料を思い出す。
記憶には、同じ記号が載っていた書類があった。
HL―003L。
ハイ・レイヤー【領域を越えし者】第三被験者ロストナンバー。
“廃棄リスト”にあったナンバリングだ。
「気にすんな。とにかく外に出るんだろ? 施設ごと潰されるとか勘弁だぜ」
円城はそう告げると、率先して走り出した。
違和感を感じながらもレーヴェも後を追う。
クェイガーだけは、暫しそのナンバーが印されたブロックを眺めていた。
「まさか……な」
そう呟いてから後を追う。
揺れる施設内に、建物が崩れる音が唐突に響き渡った。
まるでそこにあったモノを、全て覆い隠すように崩れていく。
それは崩壊のレクイエムのように辺りに鳴り響いた。
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