望まぬ過去 #2

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「勝てる?」 妙に自信満々なレーヴェを、円城は珍しそうに見つめた。 どちらかと言えば、気弱に見える少女にしては珍しい発言だ。 (相手が不死身だろうと関係無い。先に罠を張れれば戦いようはある) レーヴェは拳を握りしめると、前を見据えて微笑を浮かべた。       ◇ 研究所を離れてから一日が経過していた。 冥夢の幻域に近づくにつれ、空は朱く燃え上がるようにうごめいている。 神誓王国メルテシオンの対冥魔族軍は、既に冥夢の幻域に到着していた。 それはパリキス王女の居場所を指し示している事になるが、近づくには辺りを囲む三十万近くの軍隊を抜けなくてはならない。 やはり、それはかなり難易度の高い任務と言えよう。 例え不死身の黒コート達と言えども容易ではない。 辺りの森林は全て枯れ果てている為に、ある程度の距離を置かなければ偵察部隊に気づかれてしまう。 レーヴェ達はかなりの距離を置いた場所に潜伏していた。 場所はあえて平地である。 発見され易いが、それはレーヴェが提示した対黒コート用の地形なので仕方が無い。 程なくして、黒コートの姿が二人現れた。 影を使わない所を見ると、少なくとも前回の一人では無いのだろう。 「お出ましだな」 円城が拳を鳴らす。 三人は平地の中央でビバークしていた。 座していたので三人共立ち上がる。
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