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その言葉にレーヴェの表情だけが渋く変わる。
対“黒き戦鬼”用と言う言葉に反応したのだ。
まさか、そんな大それた事をやらされようとしているとは、夢にも思わなかったのである。
(ボクらがガルンと戦う?! 無茶を通り越して無謀にも限度があるよ!)
胸中でげんなりしたつもりだが、顔に幾何か出てしまっていた。
それを隠すようにクェイガーが口を開く。
「足止めは分かるが、肝心の王女奪還はどうするんだい?」
「それ■俺と“外なる紫眼”、シュードバッハが行う。最終地点到■前ならば、厄介なのは王宮近衛騎■団の二人だけだ。手強い相手だが……今の我々■ら負けはせん」
黒コートの声には自信が窺える。
レーヴェ達は知らない事だが、その時が最もパリキス王女の護衛が薄くなる期間だからだ。
そこならば英雄騎士も、ガルンも先行部隊の面子も存在しない。
厄介な冥魔黎明衆と呼ばれる冥魔族も最深部だ。
しかし、手練れが少ないだけであって護衛がいない訳ではない。
王女の周りには常に百人単位の直衛がいるのだ。
本来ならば手薄とはとても言えない戦力である。
それを、たった三人で陥とすつもりなのだから、その自信は図り知れない。
(やっぱり、こいつらの目的の一つは神誓王国メルテシオンの第四王女の拉致。もう一つは……?)
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