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とにかく一つ一つの情報を、咀嚼して吟味するしかない。
知らない情報を知っている振りと言うのは、思ったより困難なものだ。
難しい表情のレーヴェの様子に、片方の黒コートは顎に片手を当てた。
「貴殿、“プン■トゥスの小鍵”を使えるのだろうな?」
「プンクトゥスの小鍵……?」
固まる少女の姿を、猜疑の眼(まなこ)が見定める。
流石に全く概要が分からないのでは、クェイガーも援護のしようもない。
「今では貴殿かサンドリガーし■使えない筈ではないか? 戦場は冥夢の■域だ。あやつらから干渉出来るとは思うが……使えんとは言わんな?」
「それは……」
レーヴェは片手を胸前に上げて押し黙る。
出来ると答えるべきか、出来ないと答えるべきか?
会話の流れ的に、それを見せて見ろと言われればそこで終わりだ。
汗ばむレーヴェの顔色を見て、黒コート達はチラリとお互いを見た。
不審に思ったかは定かではない。
二人が疑問に思う前に動いたのは、傍観していた円城だった。
「ぐだぐだ前置きが長いんだよぉ!!」
黒コートの真横に滑るように周り込むと、拳を振り上げる。
まるで、弓に引き絞られた矢のように身体を捩る構えをとった。
いきなりの奇行に、黒コートは唖然とそれを見送る。
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