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「バニシング・ナックル!!」
解き放たれた見えざる衝撃波。
見えざる力が黒コート二人を薙ぎ払う。
「探り合いなんて時間の無駄だ! さっさと拘束術式とやらを起動しろ!」
驚くレーヴェに怒鳴り付ける。
クェイガーは片手を額に当てて首を振っていた。
折角の苦労が水の泡である。
「やっちまったもんは仕方がない。レーヴェちゃん!」
その声に反応して、レーヴェは素早く結界の起動魔術を唱える。
辺り一面に巨大な魔法陣が浮き上がった。
足元から赤く光る鎖が現れ、黒コート二人を縛っていく。
その二人を囲むように、大地から三重のヘクサグラムがゆっくりと浮き上がった。
巨大な魔獣、妖獣を捕縛する封縛結界に、レーヴェ特有の封印術式を組み込んだ魔法陣である。
鎖に雁字搦めにされた黒コート二人は、そのまま大地に膝をついた。
「貴様ら……何を血迷った? こ■は何の真似だ」
「それはこっちの台詞だぜ。なんで俺達がてめぇーらの仲間だと思った?」
円城の疑問にもう一人の黒コートは沈黙した。
何か考え事をしているのか、蝋人形のように佇んでいる。
「さっさと質問に答えろや。 てめぇーらが不死身だろうが、封印されちまえばそこまでだろうが? 違うか?」
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