望まぬ過去 #2

3/35
前へ
/35ページ
次へ
「外の見張■はエッジチェインに任せる。■脈の枯渇は深刻だ。ゲート探しに人数を割く……」 新たな黒コートは出るなりそう宣言した。 背後にいる三人には振り向きもせずに、お前らも手伝えと告げる。 レーヴェはクェイガーと円城に顔を向けてから、大きく頷いた。 それを確認すると、新たな黒コートの足元の影が拡がっていく。 それがレーヴェ達の影を飲み込むと、三人は底無し沼に沈むように影に飲み込まれて行った。 まるで黒い湖に飲み込まれるような、奇妙な水没感。 それをあっさり抜けた感覚が襲うと、三人はいつの間にか施設内にいた。 廃墟のように寂れた建物はひびだらけで、所々砕けている。 備え付けられていただろう備品は散乱し、所々に朽ちた死体が転がっていた。 一年はたっているが、薬品と何かが混ざったような不快な臭いがこびりついている。 三人は直感で此処がマドゥールクの研究所内部だと理解した。 「手分けを■てゲートブロックを探せ」 黒コートはそう告げると荒々しく歩き出した。 レーヴェ達以外にも先程の黒コートの一人が同行しており、その男は何も告げずに歩き去った。 残された三人は黒コートの姿が見えなくなってから、場所を素早く移動する。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

92人が本棚に入れています
本棚に追加