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「単純だぜ。仲間って奴は信頼できるダチ見てぇーなもんだ。一緒に過ごしたり、同じ志しをもったり、共感出来なきゃなれるもんじゃねぇ。だが、俺達や奴らには共通項が見当たらねぇ。俺達三人だって人種や国など共通項が無い。それでも仲間になったのは共通項があるからだ」
「それは記憶喪失……」
「それに、俺達から記憶を奪った黒幕……か」
二人の言葉に円城が頷く。
三人の絆は仮初めのものだ。
それを支えているのは共通の敵の存在である。
自分達の記憶を奪って、野に棄てた存在。
しかし――それが違がかったとしたら?
それは自分達の考えを根底から崩す事に他ならない。
「俺達三人はともかく、奴らと俺達に共通項があるとは思えねぇ。そもそも俺達は“スタグナター【停滞者】”じゃねぇーしな」
「それは……確かに」
その言葉を聞いて、レーヴェは伏し目がちに右手の人差し指を軽く噛んだ。
頭に欝すらと走馬灯の様にビジョンが浮かぶ。
断片的な記憶のカケラが見える。
その中に、何故か黒コートの姿の一団を見たような気がした。
だが、それより鮮明に浮かぶのは道化師の姿だ。
笑い顔の仮面の道化師と、黒洞の仮面の道化師。
(道化師のイメージが頭にある……。もしかしたら、こいつらが黒幕?)
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