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望まぬ過去 #3
(そうそうに打開策を導き出さねば……各個撃破される)
クェイガーはゆっくり深呼吸すると、ようやく赤蛇族と戦うために身構えた。
放置してすり抜けるのは不可能と、ようやく判断したのだ。
◇
「何を遊んで■るんですか“外なる紫眼”は」
シュードバッハはクェイガーと戦っている赤蛇族の青年を見て、少し落胆したようにその名を唱える。
「てめぇーは何処を見てやがる!!」
円城が拳を振り上げて突進すると、シュードバッハに拳を放とうとして直後に硬直した。
先程から繰り返されている一連の動作。
金縛りにあって動けなくなった所にトンファーが唸る。
小気味よい音と共に、円城は無様に吹き飛んで行く。
三度目の繰り返しに、先にうんざりとしたのはシュードバッハの方だった。
「君は馬鹿ですか? 幾度も正面か■猪突猛進。少しは戦術を考え■らどうですか」
その言葉に反応したかのように、倒れ伏した円城はヘッドスプリングの要領で立ち上がる。
「うるせぇーんだよ! てめぇーは正面から打ち砕かなきゃ気がすまねぇ! 黙ってそこに立っていやがれ!」
「やれやれ……」
四度目の打撃音が響くのは、ほんの数十秒の事だった。
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