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クェイガーは片手を振って突風を起こすと、土煙を綺麗に吹き飛ばした。
大地には断崖のような大きなクレーターが出来上がっている。
その中心に、半ば大地に埋まった外なる紫眼の姿が見えた。
クェイガーはその姿を見て、喜ぶどころか眉間にシワを寄せる。
これだけの規模の攻撃を受けて、原形を留めているのは余りに不自然だ。
「まさか……な」
眺めていた顔が徐々に引き攣っていく。
瓦礫の落ちる音の中に、微かなうめき声が混ざる。
体の自由はきかないようだが、外なる紫眼はゆっくりと腕を上げて頭を押さえている。
「おいおい……。マジに不死身かい」
クェイガーはげんなりとしながら、この後をどうするべきか本格的に悩み出した。
土煙の晴れた大地には、かなりの距離を吹き飛ばされた各々の姿があった。
その中で、レーヴェだけが元居た場所に悠然と立ち尽くしている。
背に浮かぶ二重円の魔法陣以外に、身体全てを包む複雑な羅針盤のごとき魔法陣が取り囲んでいた。
その少し背後に麒麟兄妹が。
対面のかなり後方にガズンが。
その更に後方に膝をつくシュードバッハと、頭を振りながら立ち上がる円城の姿がある。
「派手にやりやがったな、あの野郎」
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