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円城は不敵に笑うと拳を握りしめた。
他の二人が一矢報いているなら、次ぎは自分の番である。
「とりあえず……」
左手で右手首を握りしめ、指をゆっくりと握り込む。
(奴は意地でもぶっ飛ばす)
大きく息を吐くと、膝立ちのシュードバッハに身体を向ける。
大きく腰を落として、右腕を後方に引き絞った。
叫ばなければいいようなモノだが、円城は大声を張り上げながらシュードバッハに突進する。
その声に気付いて、シュードバッハは苛立ちながら舌打ちした。
「懲■ずに面倒ですね! 足の一本はへし折らせて貰いましょうか!」
シュードバッハが円城の姿をしっかりと捉えたと思った瞬間、円城は足元を掬い上げるように拳を振り抜いた。
アッパーカット。
一撃で大地は削れて、爆ぜ割れながら岩の塊となってシュードバッハに飛ぶ。
岩石のカケラが津波のように押し寄せるのを、シュードバッハは微妙に右目だけを細めて睨みつけた。
その塊が空中でピタリと止まる。
空に浮かぶ岩の群れは、地上に出来たアステロイドベルトのようだ。
「貰ったぁ!!」
岩の群れの端から円城が飛び出す。
それに即応して、シュードバッハは身体を後退させながら迫り来る拳を視野に入れた。
。
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