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「そこで何をしている!!」
張り上げられた声はレーヴェの後方から聞こえて来た。
振り向くその先には、こちらに走り寄って来る一団がある。
ニ個分隊規模の人影は、明らかにメルテシオンの軍属だろう。
レーヴェが起動させた結界を見つけて、駆け付けて来た偵察部隊と考えるのが一番妥当か。
どちらにせよ、今ではクェイガーの空けた大穴が大地に刻まれている。
発見されるのは当然の結果であろう。
現れた兵士の姿を見て、ガズンは露骨に不機嫌な顔をした。
敵としては取るに足らない連中ではあるが、騒ぎを大きくするのは時期尚早だ。
「何だぁ? 冥魔族が出やがったのか!」
兵士を掻き分け、スキンヘッドの厳つい男が現れた。
頭から左顔まで龍の入れ墨をしている。
肩に巻いている木の輪は、特殊な多節鞭だ。
「何をやっ■いる貴様ら」
唐突に兵士達が現れた真逆側に、新たな黒コートの姿が現れた。
四人目の黒コートに全員の視線が集まる。
四人目の黒コートはレーヴェを一瞥してから、指を鳴らす。
「状況説明は後でして■らうぞ」
そう呟くと、黒コート達はゆっくりと地面に沈み出した。
正確には地面では無く、自らの影の中である。
ガズンはレーヴェに視線を合わせてから、
「記憶が無いと言えど、貴殿■は選択を誤った。今ならまだ間に■う。作戦を遂行しろ」
そう警告して影の中に消え去った。
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