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レーヴェ達はスキンヘッドの男――神誓王国メルテシオン・黒鍵騎士団部隊長ハオロンと名乗る男に連れられて、メルテシオン駐屯場に連行される事になった。
見渡す限りに張られたテントと、仮設施設が溢れ反る姿は難民キャンプの集合体のようだ。
馬や投石機、攻城兵器らしきものも見える。
兵器の見本市と言われれば、それも納得出来そうな雰囲気だ。
その中を子連れの一団が帰還している訳だが、冥魔大戦直前の騒がしさの中では指して目立つ存在でもない。
差し迫った戦いの緊張感のせいで、気にする人間はほぼいないのだ。
生死を分ける戦争前に、余裕のある人間などそういない。
レーヴェは一番始めに目を覚ました時の事を思い出した。
元々は此処が旅の始まりの場所である。
今がその時より数日前と言うのは、些か奇妙な感覚だった。
現れた麒麟兄妹は、まるでレーヴェのボディーガードのように張り付いている。
自分で呼び出したのはぼんやり覚えてるが、どうやって呼び出しのかは良く覚えていない。
召喚か転移魔法が無難な回答だが、この二人と契約をした覚えはないので魔術師としては不可思議なところだろう。
「二人は何で此処にいるのかな?」
レーヴェの質問に二人は不思議そうに顔を見合わせた。
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