89人が本棚に入れています
本棚に追加
外なる紫眼は不可解に思いながらも後は追わない。
空中戦の不利差を理解しているからだ。
しかし、かなりの高さに上がったクェイガーの周りの大気が、渦を巻き始めたのを見てからようやく失策に気づいた。
「そうだったな。 貴様はフー■ス・クェイガーだったな。 カシア■イーネ連邦共生国、六征の一人」
風征クェイガー。
カシアジイーネ連邦共生国、最強の精霊使いの一人。
その立場に上り詰めた実力は伊達ではない。
たった一人で一個大隊と渡り合う力を持つのが六征である。
クェイガーは己の持つ風の力の特性から、団体戦には向いていない。
風は元来広範囲攻撃なのだ。
その有り余る力の余波のために、仲間がいては全力を発揮できない。
だが、今のように完全に分散した状態なら話は別だ。
「我が翼に触れる百エアリアス内、総ての風精霊に命じる。その大いなる翼を持って我が眼前の障害全てを吹き飛ばせ!」
逆巻く風の乱気流を見て、外なる紫眼は歯ぎしりして同じ言葉を唱え出した。
「我が翼に触■る百エアリアス内、総ての風精霊■命じる。その大いなる翼を持って我が眼■の障害全てを吹き飛ばせ!」
それを見てもクェイガーの顔のは余裕は消えない。
始めから勝敗の決まった賭けに挑むギャンブラーのように。
最初のコメントを投稿しよう!